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県立広島大学
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英米社会で注目した
日本服飾の魅力を探る

取り組み内容

 本研究は、19 世紀後半の英米の新聞(Harper 's Weekly, Frank Leslie 's Illustrated Newspaper, The Illustrated London News)に見る日本の伝統服飾のイメージがどのように変化するのか、その変遷過程を究明したうえで、このような変化をもたらした要因を解明したものです。

 日本の伝統服飾は、1850 年代半ばの否定的なイメージから1870 年代前半の過渡期を経て1870 年代後半から1880 年代にかけて肯定的イメージへと変化し、さらに、人気のファッションアイテムとして英米社会で大流行を引き起こしていたことを明らかにしました。特に、1889 年に入り、日本の伝統服飾の名称を、以前の“dress” や“costume”ではなく “Kimono” と正式に表記するようになったことは注目すべきところです。

 このように日本の伝統服飾に肯定的イメージをもたらした要因を考察した結果、欧米におけるジャポニスムの流行、万国博覧会での日本文化の宣伝、英米での日本の芸能文化の大盛況、欧米向けの室内着と着物の輸出、という4点が重要な役割を果していたことを明らかにしました。

 本研究は日本学術振興会の学術研究助成金の交付を受けた基盤研究(C)「西洋から見る19 世紀後半の日本と朝鮮の伝統服飾に関する比較研究」の研究成果の一部です。

Frank Leslie’s Illustrated Newspaperでは、1880 年代後半から当時の流行服装やファッション傾向を紹介する“IN FASHION’S GLASS” という特集記事を連載しているが、1889 年9 月21 日付の連載では、西洋女性が着物を着用した挿絵(図1)と共に、アメリカで流行する日本の和服のブームについて取り上げている(拙稿105p参照)。
図1. Frank Leslie’s Illustrated Newspaper, Sept. 21, 1889
Frank Leslie’s Weekly(1895 年12 月12 日付)に掲載された自転車広告には、羽織袴姿で月代をした日本人男性がモデルとして描かれているが、その姿が当時の英米社会で大人気を集めたコミック?オペラ「ミカド」に登場する男役の服装や髪型と非常に似ている。
図2. Frank Leslie’s Weekly, Dec. 12, 1895
担当者 地域創生学部 地域創生学科 教授
鄭 銀志(チョン?ウンジ)

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