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川原田 淳 (教授、エンジニア) 医用生体工学
「生体医工学」「健康支援機器の開発」に関する研究
川原田ゼミの特徴は、作業療法学科のゼミの中でも特に工学技術の視点を多く取り入れた研究を行うことです。週に一回程度、実験の報告、助言?指導などを含めた話し合い(GRM: Graduation Research Meetig)があります。
【今年度のゼミの取り組みについて】
今年度は、「心の状態を可視化するための方法について検討する!!」をこちらからの提示テーマとしますが、最終的なテーマについては学生の皆さんの希望に応じて相談しながら決めていきます。
このゼミは、普段の授業では聞き慣れない専門領域かもしれませんが、テーマについての特別な知識や技術は必要としません。熱意とやる気を十分に発揮できる人が集まってくれることを期待します。
(2021年度のゼミの取り組み)
2021年度は、3名の学生が川原田ゼミに所属し、「音楽と箸操作性の関連について」「箸操作の練習に用いた食べ物の種類は、箸操作の上達に関連するのか 」「ガム咀嚼が作業効率および疲労感に与える影響」のテーマについて取り組んでおり、卒業研究を完成させるための準備を進めています。
(2020年度のゼミの取り組み)
2020年度は、2名の学生が川原田ゼミに所属し、1.「スピーチにおける練習効果についての自己評価や自律神経機能からの検討」と2.「腹式呼吸がスピーチパフォーマンスに与える影響」の二つのテーマについて研究しました。
1のテーマでは、社会生活における必要不可欠な作業の一つにスピーチについて、スピーチ練習の有無により変化する自律神経機能の変化と主観的感情に注目して、スピーチにおける練習効果について検討しました。
2のテーマでは、自律神経機能を調節し、ストレスの軽減やリラックス効果があることが知られている呼吸法について着目し、呼吸法がストレスを引き起こしやすいスピーチ場面において、そのパフォーマンスに与える影響を検討しました。
(2019年度のゼミの取り組み)
2019年度の川原田ゼミでは、「AIの技術と作業療法の関係」をテーマについて研究しました。
昨今、AIの進歩により、多くの仕事がAIによって置き換えられることが心配されています。2013年に発表されたフレイとオズボーンの「雇用の未来」(2013)によると、今後10~20年程度で、米国の総雇用者の約47%の仕事が自動化されるリスクが高い、とされています。
そのなかで、作業療法士はAIに代替されにくい職業、第6位に分類されています。AIに代替されにくい職業とは言っても、作業療法士のどういった要素がAIに代用されにくいのか、また、代用されるとすればどういった要素が代用されるのかなどについて研究しました。
この研究を進めることによって、今後AIがどのように作業療法の仕事の中に関与してくるかを予想することができました。また、作業療法士がAIに取って代わられずに生き残っていくために、AIにはできない作業療法士の強みについても検討しました。さらに、AIと共存し作業療法をより発展させるためには私たちはどんな努力をしていくべきなのかという大変に重要な問題提起を行っています。
(2018年度のゼミの取り組み)
2018年度は、2名の学生が川原田ゼミに所属し、「クライエントの心身状態を可視化する生体計測技術の開発」をテーマに研究に取り組みました。
図1の写真にあるワイヤレス心電計を用いて、被験者(クライエント)の行動を拘束することなく、心電図を測定することが可能となります。この心電図から「Bonaly Light」という心拍変動解析ソフトを用いて、被験者の自律神経活動を調べました。
実験では、被験者にこの電極を左胸の下あたりに装着した状態で(図2)、COPM((Canadian Occupational Performance Measure)という作業療法評価を実施しました。
その際の自律神経の活動などを記録?分析し、被験者がどのような場面で緊張やストレスなどを感じているのかを調べました。
図1 ワイヤレス心電計 図2 ワイヤレス心電計装着位置
(過去の取り組み)
川原田淳教授の研究業績は,研究者紹介(川原田淳) を参照してください。