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生命科学コースの研究紹介の第6回は,動物生殖生理学研究室(山下研究室)になります。
動物生殖生理学研究室では,哺乳動物における生殖細胞の形成メカニズムを調べています。特に卵巣における卵胞発育と排卵,精巣における精子形成,卵管における受精のメカニズムについて,精巣,卵巣特異的遺伝子欠損マウスなどを用いて解析しています。また,マウスにより得られた知見を家畜(ウシやブタ)の効率的生産やヒトの高度生殖補助医療へ応用するトランスレーショナルリサーチや企業との共同研究も積極的に展開しています。研究室卒業者、修了者は,大学教員(旭川医科大学医学部、岡山理科大学獣医学部),博士研究員(大阪大学、一般企業)などの研究者の他,胚培養士,製薬会社,地方公務員(広島県,福井県,愛媛県,岡山県など)など,多方面で活躍しています。
図1. 卵巣からの組織採取と培養の様子。卵巣から顆粒膜細胞および卵胞膜細胞を回収して(左図),クリーンベンチ内で調整した培地を用いて(右図),生体内を模倣した培養器(インキュベーター)により培養します。
図2. 培養した細胞における標的遺伝子の発現解析。標的遺伝子の発現がどの様な因子による増加するのかを調べるためにRNAを回収しています(左図)。また回収したRNAを逆転写し,cDNAとした後に,リアルタイムPCR装置を用いて標的因子の発現量を詳細に解析しています(右図)。
図3. 倒立顕微鏡を用いた組織像の観察と機能解析。卵巣や精巣の薄層切片を作成し,核と細胞質を染色して,標的遺伝子のノックアウトマウスでは,どの様な形態的な異常が認められるのかを観察し,標的遺伝子の役割を調べています(左図)。また,精子運動解析システム(CASA)を用いて,ノックアウトマウスの精子運動に野生型個体とどの様な違いが認められるのかを観察しています(右図,広島大学院統合生命科学研究科との共同研究)。
図4. 学生部屋の様子。実験により得られた結果についてディスカッションを行っています。
図6. 2024年10月に秋田市で行われた第29回日本生殖内分泌学会に博士課程前期1年の市河暖翔君と学部4年生の森翔太君と共に参戦しました。医学部の博士研究員や大学院生が多くいる中,学部4年の森君は発表と質疑応答を見事にこなし,日本生殖内分泌学会若手学術奨励賞を受賞しました。