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県立広島大学
学長 森永 力
はじめまして、この度、県立広島大学学長を拝命いたしました森永力と申します。私は、本学の前身の一つであります広島県立大学に平成9年8月に赴任して以来、約24年間、本学にお世話になっております。この間、学科長、学部長、副学長、国際交流センター長等をやらせていただきました。なかでも、庄原キャンパスには17年間おりましたが、優秀な学生さんに恵まれ、彼らの卒業論文、修士論文の指導を通じて、多くの研究や論文を書くことが出来ました。研究室では、実験、研究だけでなく、冬は泊りがけで鳥取県の大山にスキーに行ったり、夏は毎年キャンプに出掛けました。当時、研究室にはタイのウボンラチャタニ大学やケニヤのモイ大学から留学生が来ており、お国自慢の料理を味わうこともできました。卒論や修論に取り掛かっていた学生さんは、皆夜遅くまで実験をしていましたので、庄原キャンパスはまるで不夜城のように灯りがいつも点いていました。他大学からの大学院への進学者もいて、本当に多様性に富んだキャンパスでした。彼らの楽しい青春時代を私も一緒に過ごさせていただき、大変感謝しています。
ところで、本学は広島県が設置した公立大学です。広島県は高等教育の機能性強化の必要性を以下のように示しています。人口減少が進む中で、市場規模の縮小や労働力不足が懸念されるなか、社会の様々な場で、イノベーションを創出できる人材を継続的に輩出できる教育環境の構築が必要であり、また、大学進学時に毎年千数百人の転出超過が継続、若年層の転出超過に歯止めをかけるためには、首都圏や関西圏の大学と比較して、より魅力ある質の高い教育環境の構築も急務であると考えています。また、グローバル化やICTの進展する中、県内企業の海外展開を主導できる人材やグローバル化する企業社員のマネジメントが担える人材が必要であるとも言っています。本学は広島県のこのような施策や課題に応える必要があると考えています。平成17年1月中央教育審議会が「我が国の高等教育の将来像」という答申を出して、その中で大学を機能別に6つに分けています。それによると本学はHBMSを除き、総合的教養教育の大学に属するのであろうが、広島県のいう、より魅力ある質の高い教育環境を構築するためには、教育だけでなく、質の高い研究をする必要があると思っています。研究や被引用論文数で評価される「世界大学ランキング」では、本学は2017年には、3,569位でしたが、2020年には5,099位と、毎年500番下がっています。このことは、研究の中心である大学院をより充実させなければ、広島県の期待に応えて、受験生を本学に引き留めることはできないのではないかと思っています。
大学院については、三原に博士課程設置が計画されていることから、現在の総合学術研究科博士課程においては大幅な変更が予想されます。このことも踏まえて、また、質の高い研究をして大学ランキングを上げるためにも、教員の研究力向上を図る施策に併せ、大学院の再編は必要だと思っています。大学院の入試選抜状況は三原を除き、近年定員割れが続いています。各専攻ごとに、入学定員数の見直しを行う必要もあります。さらに、大学院に、学部同様、英語だけで講義をし、指導を行う新たな文理融合教育プログラムなどを設置して、日本人のみならず、東南アジアや欧米からの留学生を増やし、キャンパスのグローバル化を図りたいと思っています。私の任期は2年間です。大学院の再編を最優先に実行して、次の学長に良い形で引き継ぐことが私の役割だと考えています。同窓生の皆様には、さらなる県立広島大学の発展を温かい目で見守っていただき、さらなるご支援を賜りますようお願いいたします。